皆さんが今お住まいの自宅の外壁は大丈夫ですか? 気にした事ありますか?
すべての建物の外壁には、「目地」という建物には無くてはならない物があります。それは、建物を守る為に必要な構造になっています。そして「目地」には、「コーキング」という材料がはいっています。ここでは、「目地」と「コーキング」の意味と寿命についてお話ししましょう。
目地
「目地」って何? 普通一般の方には、馴染みの無い言葉でですよね?
「目地」とは、建物を建てる際にできる壁と壁の継ぎ目、そこに弾力のあるゴム状の材料で造られた場所と言った方が一般の方には伝わりやすいでしょう。
では、なぜ「目地」は必要なのか?
それは、地震などの揺れの負担を緩和する役割を持ち、「目地」に「コーキング(弾力のあるゴム)」を入れることにより建物内に水の浸入を防ぐ役目をはたしてくれる重要な働きをしています。すべての建物がそう言えるでしょう。
コーキングの種類と成分
「コーキング」とは、建物を建てた際にできる隙間、いわゆる「目地」と言われる物を埋めるゴム状の材料のことで、実際に埋める工事を始めた時のコーキングはクリーム状の液体ですが、硬化すると弾力のあるゴム状に変化します。
コーキングの種類には1成分形と2成分形があり、大まかに4つの成分で分けられます。
「湿気硬化型」
これは、空気中に含まれる水分に反応して硬化します。
シリコーン系
変成シリコー系
ポリウレタン系
ポリサルファイド系の4種類の材料があります。
「乾燥硬化型」
これは、溶剤や水が揮発乾燥しながら硬化していきます。
アクリル系
ブチルゴム系の2種類の材料があります。
「非硬化型」
内部は硬化せず、表面に酸化皮膜を形成するタイプの材料です。
油性コーキング材の1種類です。
「混合反応硬化型」
この材料は、主材と硬化剤があり、混ぜ合わせると化学反応をおこし硬化する特殊な材料です。
変成シリコーン系
ポリウレタン系
ポリサルファアイド系
シリコーン系
ポリイソブチレンの5種類の材料があります。
コーキング材の種類と特徴
上記の説明でコーキング材には、成分別にさなざまな材料があることがわかりました。では、材料の種類と特徴についてみていきましょう。
「シリコーン系コーキング剤」
主にキッチンや浴槽廻りの補修に使用され、耐水性、耐熱性、耐候性に優れた材料で、硬化時間は湿度と気温によって異なりますが15分〜20分ほどで表面硬化が始まり20分を過ぎると皮膜硬化が始まります。完全硬化には24時間かかります。ただし、この材料は完全硬化しても塗装は出来ません。
僕の体験談ですが、夏の作業でした。1液の材料で1本打ち終わってから仕上げようと思っら硬化が始まっていて、グチャグチャになったのを覚えています。先輩は、僕を怒るわけでもなく、コーキングを撤去してやり直し始めました。先輩の作業をみて勉強になりました。1本打ち終わってから仕上げるのではなく、少し打っては仕上げるという硬化時間をわかっているかのように、綺麗に仕上げていました。気温によって硬化に差があることを先輩が教えてくれたんですね。僕の経験では、全ての材料が気温と湿度が関係し硬化時間を気にしながらの施工が必要です。
「変成シリコーン系コーキング剤」
建築物全般に使用可能で塗装可能で耐候性に優れています。しかし、この材料は、水が常に触れている場所には不向きな材料です。📌コーキングの上に塗装をかけても油が浮いてこない添加剤の入った改良品のノンブリードタイプもあります。
ほとんどの場所で使える材料ですが、紹介したように水廻りには使用しない方がいいです。水垢やカビが付着し、黒ずんでくるのでキッチンや浴槽周りにはお勧め出来ません。
「アクリル系コーキング剤」
主にALC板の目地や塗装・内装クロスの下地処理に使用され、耐候性は非常に悪く水の触れる場所には使用できません。📌この材料も塗装をかけても油が浮いてこない添加剤の入ったノンブリードタイプがあります。
この材料は、外壁のひび割れUカット補修に多く使用します。
「ポリウレタン系コーキング剤」
この材料はALC板の目地やとそうまえの下地処理に使用される。耐候性は非常に悪いです。📌この材料も塗装をかけても油が浮いてこない添加剤の入ったノンブリードタイプもあります。
僕の会社では、屋上やバルコニーの防水工事によく使用します。
「ポリサルファイド系コーキング剤」
PC板(工場で鉄筋を中に入れて形成されてきたコンクリートの板)や一戸建てによく使用されているサイディングボードなどの目地に使用され耐候性が非常に良い材料です。
余談ですが、僕が20歳の時、2液の材料にブラウン色があるのですが混ぜるとチョコレートクリームみたいで「美味しそう!」って思ったことありました。f^_^;
📌📌「変成シリコーン系」「アクリル系」「ポリウレタン系」「ポリサルファイド系」これらの材料も湿度や気温によって硬化時間が異なり、硬化時間の目安は約1時間ほどで表面硬化、5時間ほどで皮膜硬化が始まります。気温は10°C〜15°Cで1mm厚に表面硬化、20°C〜25°Cで3mm厚に皮膜硬化、5°C以下では固まらず環境によって硬化時間が違い、完全硬化には24時間以上かかります。これから自分でコーキングの打ち替えを考えている方はコーキング剤の性質を覚えておく必要がありそれぞれの外壁、場所、環境に適した材料を選び施工を行って下さい。
「ブチルゴム系コーキング剤」
この材料は耐候性が非常に悪く有機溶剤を含み硬化後も持続、施工後もずっとベタベタがなくならない感じの材料です。 主に防水シートの合わせ目や板金加工に使用されます。
「油性コーキング剤」
コーキング剤の原型。汎用コーキング剤。皮膜硬化のみで中は固まりません。
以上、さまざまな用途に応じた材料があることがわかります。
目地の役割
冒頭で、目地には揺れの緩和と水の浸入を防ぐとお伝えしました。では、どのようにその役割を果たしているのだしょうか?
目地とコーキングの構造には2面接着と3面接着の2種類があります。
まず、2面接着は木造一戸建てのサイディングボードの目印に施工法。木造の場合は気温によって伸縮を繰り返し壁が動く為、その動きに対応し水の浸入を防ぐ施工法で、バックアップ材やボンドブレイカーを使用し1面に材料が着かないようにします。
「バックアップ材」
目地の隙間の深さの調整と同時に3面接着をしない為に使用されます。太さや厚みのさまざまで四角いのり付きの物と丸くパイプ状の物がある。
「ボンドブレイカー」
コーキング剤と接着しない粘着テープで「紙・布・プラスティックフィルム」の3種類があり、また、材料によって使い分けられ、ポリウレタン系とポリサルファイド系には「クラフトテープ」、ポリイソブチレン系とシリコーン系と変成シリコーン系には「ポリエチテープ」が使用されます。
3面接着は、コンクリートでできた動きの少ない建物での施工方法。壁と壁の継ぎ目でもある為、目地の中にコーキング剤をしっかり入れ込んで3面を接着し水の浸入を防ぐ施工法です。
コーキングの寿命
コーキングにも寿命は、通常5年〜10年と言われています。コーキングには保護剤が入っていてそれが紫外線によって劣化、目地の痩せやひび割れをおこしコーキングが切れる。他には、確実で精密な施工がなされていなかった場合にコーキングの痛みが早まる場合があります。下の写真のようになると雨漏れの原因や外壁の痛みの原因につながっていると考えられます。
まとめ
あなたが今お住まいの外壁にとても重要な役割をしている「目地」と「コーキング」のことをお伝えしてきました。
この機会に自宅の壁を自分の目で見て確認してみてはどうでしょうか?
もし、雨漏れや外壁の膨張やひび割れなどがある場合「コーキング」が傷んでいるところがあるかもしれません。自宅の痛みが進行してしまう前に早めの対策、施工する事をお勧めします。
コーキングは、一般の方でも施工可能です。また、施工手順も紹介していくので参考にしてください!
コメント